【第2回 狂気の旋律】
  1. Black dog/ブラック・ドッグ
  2. Rock 'n' roll/ロックン・ロール
  3. Battle of Evermore/限りなき戦い
  4. Stairway to Heaven/天国への階段
  5. Misty mountain hop/ミスティ・マウンテン・ホップ
  6. Four sticks/フォア・スティックス
  7. Going to California/カリフォルニア
  8. When the levee breaks/レヴィー・ブレイク
LED ZEPPELIN IV
LED ZEPPELIN
 
●1971年 アルバムリリース
 
【同アーティストの代表的アルバム】
・LED ZEPPELIN(ファースト) ・LED ZEPPELINII ・LED ZEPPELINIII ・HOUSES OF THE HOLY/聖なる館 ・PHYSICAL GRAFFITI ・PRESENCE ・IN THROUGH THE OUT DOOR ・CODA/コーダ<最終楽章>
 
  1. Rock'n'roll/ロックンロール
  2. Celebration day/祭典の日
  3. The Song remains the same/永遠の詩
  4. Rain song/レイン・ソング
  5. Dazed and confused/幻惑されて
  6. No Quarter/ノー・クォーター
  7. Stairway to heaven/天国への階段
  8. Moby Dick/モビー・ディック
  9. Whole lotta love/胸いっぱいの愛を
The Song Remains The Same/永遠の詩(狂熱のライヴ)
LED ZEPPELIN
 
●1976年 アルバムリリース
 
 

 いきなり前回の第1回目で気合いを入れて書いてしまい、2回目にして既に「さて次は何にしよう?どんな事を書こう?」と戸惑っているのですが、私の中でどうしても外せないアルバムとしてはこのLED ZEPPELINの「LED ZEPPELIN IV」と「The Song remains the same/永遠の詩」です。

 と言うわけで今回は欲張りにも2枚を同時に取り上げたのですが、LED ZEPPELINに限らずこのあたりのアーティストになると、その全てのアルバムが素晴らしいと言うことも充分あり得るわけですが、今回この2枚を取り上げた理由は、この両アルバムに収録されている曲「Stairway to heaven/天国への階段」が私の想い出の名曲だからです。

 アルバムとしては当然「LED ZEPPELIN IV」の方が早く、有名な話ですがこのアルバムには正式なタイトルが付けられていません。「LED ZEPPELIN」「LED ZEPPELIN II」「LED ZEPPELIN III」の後に出たアルバムだから順番として「LED ZEPPELIN IV」という表記のされ方をしていますが、ZEPファンの間では「FOUR SYMBOLS」などと呼ばれています。

 実は私は、この「FOUR SYMBOLS」が発表された当時(1971)はまだLED ZEPPELINを知りませんでした。初めてLED ZEPPELINのアルバムを聴いたのは1976年の「PRESENCE」でしたが、その時も「へぇ〜、すごいヘヴィーなバンドだなぁ」くらいの印象しかありませんでした。

 また同じ年(76年)にZEPPELINの73年のライブが映像化されたのが「The Song remains the same/永遠の詩(狂熱のライヴ)」ですが、この時もとても興味はあったのですが、結局映画館に足を運ぶことはありませんでした。それから1年ほどして友人から借りたこの「The Song remains the same/永遠の詩(狂熱のライヴ)」に針を落とすことになるのですが、いきなり1曲目の「Rock'n'roll/ロックンロール」でノリノリのLED ZEPPELINの世界に引き込まれました。

 そして運命の出会いは7曲目に収録されていた「Stairway to heaven/天国への階段」です。
ジミー・ペイジの「狂気のように美しい旋律を持つギタープレイ」に圧倒され、しばらくは言葉も出ませんでした。それからはこのアルバムを友人に返すことも忘れ、何度も何度も聴き直し、特に「Stairway to heaven/天国への階段」に関しては何度聴いたかわかりません。さすがに借りっぱなしは悪いと思ったのでしょう、このアルバムをカセット・テープに録音して、更に「
Rock'n'roll/ロックンロール」と「Stairway to heaven/天国への階段」だけを繰り返し録音したテープまで作り、朝は目覚まし代わりに、ラジカセにタイマーをセットし、この「Stairway to heaven/天国への階段」で目覚め、それから1時間ほどこのテープを聴きまくり、結局目覚ましの意味もなく、学校には遅刻してゆく毎日でした。
本当に熱に犯されたようにこの曲にのめり込んでゆきました。

 こんな美しく素晴らしい曲をキチンと編集されたスタジオ録音版で聴きたいと思い、ここでやっとお金を出して買ったのが「FOUR SYMBOLS」でした。

 「Stairway to heaven/天国への階段」の素晴らしさは言うまでもありませんでしたが、このアルバムのTOPを飾る「Black dog/ブラック・ドッグ」〜ライヴでのTOP曲「Rock'n'roll/ロックンロール」への腹に響くようなヘヴィーで全ての概念を吹き飛ばすようなパワフルな音の洪水に、またノックアウトされてしまいました。

 その後はお決まりのコースで、「LED ZEPPELIN」〜「LED ZEPPELIN III」までを一気に聴きまくり、「Dazed And Confused(1st)」「Black Mountain Side(1st)」「Whole Lotta Love(2nd)」「The Lemon Song(2nd)」「Since I've Been Loving You(3rd)」などにのめり込んでゆくのですが、中でも「LED ZEPPELIN III」のオープニングの「Immigrant Song/移民の歌」のロバート・プラントの人間離れしたハイトーン・シャウトにはぶっ飛ばされました!

 という訳で、本来ならばここで紹介すべきアルバムは「FOUR SYMBOLS」だけでも良いのですが、LED ZEPPELINのようなハードロック・バンドの演奏は、できれば臨場感溢れるライヴで聴きたいですし、個人的には「The Song remains the same/永遠の詩(狂熱のライヴ)」での「Stairway to heaven/天国への階段」のアレンジの方が好きです。

 最近になって、昔の音源が発見されたとかで(いま、ブームですね)、何枚かのライヴ・アルバムがリリースされていますが、当時はLED ZEPPELINのライブ・アルバムと言えば、この「The Song remains the same/永遠の詩(狂熱のライヴ)」しかありませんでした。
今、改めて聴き直してみると、ロバート・プラントのボーカルは全然声が出ていなかったり、全体的にアンバランスな編集に感じられますが、やはり私にとって、繰り返し聞いた 「The Song remains the same/永遠の詩(狂熱のライヴ)」での「Stairway to heaven/天国への階段」はどうしても忘れることのできない1枚です。

 

 1966年、時代的にはBEATLESが人気絶頂の頃(BEATLESに限って言えば、その全活動期間、解散後から現在に至るまで「人気絶頂」なのですが・・・)、英国に続きアメリカをも席巻し、初来日も果たし、いよいよその人気は世界中の音楽ファンのみならず、社会現象とまで言われていた頃、英国で「三大ギタリスト」を排出したYARDBIRDSにERIC CLAPTON、JEFF BECKに次ぐ3人目の(実際には4人目)ギタリストとして、JIMMY PAGEが正式加入。
一時期はJEFF BECKとJIMMY PAGEのツイン・リード・ギターという、今では信じられないような編成のバンドとして活動した事もあったが、程なくJEFF BECKが脱退。そして1968年には解散に追い込まれてしまう。

 しかし、残されたJIMMY PAGEはYARDBIRDS解散後すぐに、自らのバンドにRobert Plant(Vo.)、John Henry Bonham(Dr.)、John Paul Jones(B)を誘い、NEW YARDBIRDSとして活動を再開する。(1968年9月)
翌10月にはバンド名をLED ZEPPELINと改め、デビューアルバム「LED ZEPPELIN」を録音する。
12月にはアメリカでもデヴューを果たし、ここからこのバンドは世界のハードロック・シーンを駆け抜けて行くことになる。

 続くセカンド・アルバム「LED ZEPPELIN II」(1969)は全英チャート7週間1位の偉業を達成。同アルバムからシングル・カットされた「Whole Lotta Love/胸いっぱいの愛を」の大ヒット、イングランドのバース・フェスティバル出演、ニューヨーク、カーネギーホールで演奏など、その地位を揺るぎ無いものにする。

 ちなみにこの「LED ZEPPELIN II」はKING CRIMSONの「クリムゾン・キングの宮殿」と共に、当時ヒットチャート上位を独占していたBEATLESの「Abbey Road」をチャート上位から引きずり降ろしたアルバムとしても有名。一説にはこのLED ZEPPELINの台頭がBEATLESの解散(1970)を早めたという話もある。

 また、この1969年という年は前回のEAGLESの項でも触れたように、WOODSTOCK FESTIVALが行われたり、それまでの絶対的王者であるBEATLESに解散前夜のちぐはぐな空気が流れたり、Rolling Stonesに至っては英国での活動を中止し、その拠点をアメリカに移す最中であったり、メンバーだったブライアン・ジョーンズが謎の死をとげたり、大きな事件としては<オルタモントの悲劇>(カリフォルニア州オルタモントで行われたフリーコンサートでアフリカ系アメリカ人の観客がRolling Stonesの演奏中にメンバーの目の前で警備員に刺殺され社会問題になる)など、ロック界にとっては激動の年であった。それは「ラブ&ピース」の幻想が壊れはじめ、ロックを演奏する側も、聴く側も、現実を直視しなければならない時代の始まりだったのかもしれない。

 そんな時代の中、幻想を離れ70年代初頭のロックシーンをロック本来のパワーとスピードで駆け抜けたバンドがこのLED ZEPPELINであり、DEEP PURPLEであり、日本では今ひとつ受けが悪かったがBLACK SABBATHだと言える。(ハードロック御三家)

 中でもLED ZEPPELINは当時ブリティッシュ系ロック・ミュージシャンが先を争うようにして取り入れていったブルースを基調としたサウンドから、ブリティッシュ・トラッド、ケルト・ミュージック、カントリー、フォーク、ファンクやあらゆる民族音楽などをその演奏や楽曲に取り入れ、独自の形式美を作り上げていった。
その演奏の中心はやはりJIMMY PAGEのトラッド&ブルーズを基本にしたギター・プレイであり、Robert Plantの力強いボーカルと、大音量・重低音を基調としたリズム・セッション(John Henry Bonham、John Paul Jones)がそのプレイを支えてゆくという演奏スタイルが彼等の特徴と言えるだろう。

 BEATLES無き後の70年代のロック界のひとつの方向性としてのハードロックの流れの中で、先に挙げたDEEP PURPLEやBLACK SABBATHが、メンバーチェンジ等によって徐々にその力を落としてゆく中でLED ZEPPELINだけはスタート時のメンバーのままで、確実にその路線を突き進んで行った。

 70年代中頃から、音楽シーンではそれまであまり前面に出ることの無かったブラック・ミュージック系が台頭し始めていた。日本でもディスコ・ブームなどが流行りだしていた。
そんな流れと、LED ZEPPELINが5作目「HOUSE OF THE HOLY」あたりから取り組み始めていた試みがうまくマッチングし、6作目の「PHYSICAL GRAFFITI」(1975)などはLED ZEPPELINの最高傑作と称されるようになり、多くのロックファンの心を掴んで行った。

 このLED ZEPPELIN、DEEP PURPLE、BLACK SABBATHが作り上げたハード・ロックの流れは、やがて80年代から現在に続くヘヴィー・メタルへの流れに繋がってゆき、DEEP PURPLE、BLACK SABBATHが去っていったハード・ロック界において、LED ZEPPELINがその王者として君臨するはずであった。

 ところが1975年、ボーカルのRobert Plantがギリシャのロードス島で交通事故に遭い重症を負ったことを皮切りに、1977年にはオークランド・コロシアムのバックステージで喧嘩に巻き込まれたり、その4日後にはRobert Plantの息子が幼くして夭折するなど、不吉な影がこのバンドにはつきまとうようになる。

 そんな中、1979年に9作目のアルバム「IN THROUGH THE OUT DOOR」を発表し、80年代の新たな活躍を期して1980年6月からヨーロッパ・ツアーを開始したLED ZEPPELINだったが、同年9月、ZEPサウンドの要とも言えるドラムのJohn Henry BonhamがメンバーのJIMMY PAGEの自宅で謎の死を遂げ、物理的にLED ZEPPELINはその歴史に幕を閉じた。

 1982年には活動時の未発表曲を集めた10作目の「CODA/コーダ<最終楽章>」をリリースしたが寄せ集め的な感は拭えず、セールス的にもいまひとつだった。

 1985年 7月13日に米英同時開催となったライヴ・エイドで、ドラムにジェネシスのPHIL COLLINSを迎え特別に復活演奏を行った事は記憶に新しい。
また1988年 5月14日にはニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデンで行われたアトランティック・レコード40周年記念行事にJohn Henry Bonhamの息子Jason Bonhamを交えて参加し、「天国への階段」と「WHOLE LOTTA LOVE」を演奏した。

 またそれらの事をきっかけに、後に Plant Pageというセッションを組み、来日公演も果たしたが、バンドとしてのLED ZEPPELINは、BEATLES同様、二度と復活・再活動は無いだろう。

 

 
8/JAN/2004

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